ハリウッドVFX業界就職の手引き

ハリウッドVFX業界就職の手引き
鍋潤太郎氏による、海外のVFX業界で働くための手引き。お薦めです。

2013年1月18日金曜日

ライフ・オブ・パイ

「ワーク・フローとパイプラインを考えてみる」シリーズの途中ですが、今回だけ映画のお話をさせて頂きます。間もなく日本で20世紀フォックスの配給による映画「ライフ・オブ・パイ」が公開されます。アメリカでは既に昨年公開されましたが、原作はカナダの作家ヤン・マーテルが2001年に発表した小説が元になっており、その非常に緻密な描写とストーリー性ゆえに大変な人気となり、早くから映画化の話が出ていました。当初は「シックス・センス」などのM・ナイト・シャマラン監督などが監督候補に挙がっていましたが、最終的には「グリーン・デスティニー」や「ブロークバック・マウンテン」で知られるアン・リー監督より映像化されました。

ストーリーは、主人公のインド人少年パイの乗った貨物船が嵐で沈没してしまい、やはり貨物船に乗っていたシマウマ、ハイエナ、オランウータン、そしてベンガル・タイガーと、救命ボートで太平洋を漂流する、というもので、映画の撮影はほとんど台湾にある撮影所内のプールで行われ、海や動物などは多くがVFXを駆使して再現されています。このVFXは幾つかのスタジオが共同で制作したのですが、そのうちのかなりの部分はRhythm & Hues Studiosによって作られました。私もこのプロジェクトから同社に在籍し、海のパートのエフェクツとライティングを担当させて頂きました。原作に忠実な美しいストーリー、リー監督の映像センスなどがあいまって批評家の評価も高く、今年のアカデミー賞では視覚効果賞を含む11部門にノミネートされています。今月の25日から公開されるようですので、ぜひ劇場に足をお運びください。



またこの作品は、撮影もVFXも全て3Dで行われております。私の知る限りでは、プロジェクションや後処理による3D化は行われていないはずです。ちなみに配給会社の20世紀フォックスは、映画の大半が嵐のある海の上を舞台としていることから、3Dを鑑賞した観客が船酔いを起こすのではないかと非常に懸念しておりました。そのため、奥行き設定やカメラの揺れ具合などをショットごとに調整し、迫力がありながらも観客に不快感を与えないような細心の注意が払われております。3Dに支障のない方は、ぜひ3Dでご覧になることをお勧めします。


今週からリンクのコーナーに2つほどサイトを追加しました。1つは私が東京のスクウェア・エニックスに在籍していた当時の同僚であり、現在はDouble Negative Singaporeでモデラーをされている北田さんのブログ「北田栄二の海外武者修行!!」、もう一つが私がWalt Disney Animation Studiosにいた際の同僚で、この業界では大御所でありレイアウトのプロでもあるマット鈴木さんのサイト「Matsune FX」です。ぜひ一度ご覧ください。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。