ハリウッドVFX業界就職の手引き

ハリウッドVFX業界就職の手引き
鍋潤太郎氏による、海外のVFX業界で働くための手引き。お薦めです。

2013年2月12日火曜日

Rhythm & Hues Studiosの倒産

木村でございます。今月からはレンダラに関するお話をしておりますが、既に報道等でご存知の方もおられるかと思いますが、私が勤務しておりますRhythm & Hues Studiosが昨日倒産の手続きに入りましたので、今回だけこのお話をさせて頂きたいと思います。


アメリカでCG屋をやっておりますと、よくあるワイルドな出来事の一つに会社が倒産してしまう、ということがあります。すでにこのカリフォルニアでは、ここ数年の間にOrphanage、Cafe FX、Asylum Visual Effectsなどが姿を消しておりまして、当然そのあおりで職を失う友人、知人もたくさんおります。いったいどういう状態なのかと話を聞くと、「いやー、朝会社に行ったらもうなくなっててびっくりだよ」などという、数量限定のおいしいパン屋さんから帰ってきた客のような話になっていたりします。また、なくなりはしないまでも、会社の財務状態が悪化して更生手続きを踏むスタジオもあります。昨年メディア・グループとして立ち上げた親会社が破産し、VFXスタジオ本体だけが切り離されて他社に買収され、再出発を切ったDigital Domainがこのようなケースにあたります。

さて、今回のRhythm & Huesのケースなんですが、経営陣が裁判所に届けたのは連邦倒産法第11章、いわゆるチャプター11と呼ばれるもので、日本でいうところの民事再生法にあたります。したがいまして、Rhythm & Hues自体は現在も営業を続けており、また私との雇用契約も継続しているため、会社が公開するのに不適切である、と判断している情報に関しては私もここで公にする訳にはいきません。その点ご理解ください。

この問題は、私の記憶が正しければ2月4日にTHE WARPなどを始めとする業界情報サイトが、Rhythm & Huesがキャッシュフローに問題を抱えて、映画スタジオから緊急融資を受けた、またインドに本拠地を持つPrime Focus社が買収に興味を持っているといったことを報じたことから最初に明るみになりました。そして2月10日の日曜日の夜には一部のスタッフにマネージメントから連絡があり、即時解雇を知らされます。明けた月曜日には、スタジオで全社ミーティングがあり、社長のJohn Hughes氏から会社がチャプター11をファイルすることが告げられました。この間我々スタッフが知っていたことというのは、ほとんど報道さていたことのみです。といいますのも、会社を売却する、といったことにはその間のプロセスに関する法的な守秘義務を伴うことがほとんどですので、相手が我々スタッフであってもことを公に出来ないのが普通だからです。実際のところ、我々は買収交渉があったのか、その相手がPrime Focusだったのかといったことは今でもわかりませんし、報道がどういったソースをベースにしていたのかもわかりません。ただ、恐らくそうであったのだろう、そしてPrime Focusとの交渉はまとまらなかったため、倒産に踏み切ったのだろう、とは考えることが出来ると思います。

さて、この倒産の結果ですが、まず現在制作に入っていて、もう出来上がりつつあるプロジェクトに関してはこのまま継続し、それ以外のもに関しては一旦キャンセルして、再建計画がまとまったところで改めて新規の仕事を入札する、という方向でいくようです。しかしそのために、残念ながらLAスタジオのプロダクションの規模を縮小せざるを得ず、推定600人から700人規模の人員のうち、200人弱が解雇された、というように聞き及んでおります。また、今後の再建方針次第では、更なる人員の削減も考えられますので、残ったスタッフも現在のプロジェクトを進めつつ、就職活動を念頭に置かなければならないでしょう。

今回Rhythm & Huesがチャプター11をファイルするに至った理由ですが、これを詳細にお話しする立場にはないのですが、現在世界中で行われている、映像産業に対する補助金制度と、それに伴うVFXの市場価格の下落がRhythm & HuesのようなアメリカのVFXスタジオのキャッシュフローに悪影響を与えていることはやはり理由の1つとしてあります。この映像産業に対する補助金制度に関しては、重要なトピックですので、回を改めてまたお話しさせて頂きたいと思います。



追記(2月14日):Rhythm & Hues は書類上の手続きの遅れから、裁判所へのチャプター11の申し立てを11日の月曜日ではなく、13日の水曜日の夜に行いました。

3 件のコメント:

  1. 働いてみたいスタジオだったのですが、非常に残念です。
    そして明日は我が身。DDといいDWといい、LAでの雇用がどんどん少なくなってますね。なんと恐ろしい…。

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  2. あ、すいません、ドイです。

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  3. ドイさんお元気で何よりです。Disneyもあんなに儲かってるのに容赦ないですからね。なんとかしがみついててください。

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