ハリウッドVFX業界就職の手引き

ハリウッドVFX業界就職の手引き
鍋潤太郎氏による、海外のVFX業界で働くための手引き。お薦めです。

2014年7月28日月曜日

自習してみる

木村でございます。皆さんはCG自習してますか。一旦就職してしまうとなかなかまとまって勉強をする時間は取れなくなるものですが、ご存知の通りCGの技術は日進月歩ですから勉強をやめてしまうとたちまち遅れをとります。以前とあるプロダクションで一緒に働いたライティング・アーティストがいたのですが、この人のライティングには妙なところがありました。それは影を落とさないのです。キーライトの影は落とすのですが、フィルやリムなどからは影をとってしまいます。もちろんそれでちゃんとした絵に見えればいいのですが、あからさまに影がないのがわかる絵なのです。他にもどうもグローバル・イルミネーションを使いたがらない傾向があって、ある日聞いてみたところ「計算時間がかかる」というのがその理由でした。確かに計算時間はかかりますが、現代のライティングにおいて、少なくともフォトリアルなライティングをするのに影やグローバル・イルミネーションを使わない、というのは無理があります。彼がそうしたライティングをしているのには私には何となくわかります。彼は私とそんなに歳が違わない感じでしたが、私がこの業界に入った今から二十ウン年前はコンピュータの計算速度がお話しにならないほど遅く、グローバル・イルミネーションはおろか影を落とすのにも慎重さが求められる時代でした。RenderManのシェーダーにブロッカーという擬似的に影を落とせる仕組みを入れたり、シャドウ・マップを使い回したりして計算をいかに軽くするかが当時のライティング・アーティストの腕の見せ所だったのです。彼の中ではその当時からライティングの技術が全く変わっていないのでしょう。その頃の知識がもう無駄になってしまった訳ではありませんが、それに固執していること自体は危険です。そしてこれは私を含め誰にでも起こりうる事です。そこで今回はCGの自習に役立つオンライン・トレーニングのサイトを幾つかご紹介します。


YouTube, Vimeo

CGのソフトウェア会社の多くはYouTubeやVimeoに自社のチャンネルを持ち、チュートリアルのビデオをアップしています。例えばAutodeskは各CGアプリケーション毎にYouTubeにチャンネルを作り、最新機能の紹介やチュートリアル・ビデオをアップしています。下のリンクはMayaのものです。

Maya Learning Channel

Autodesk以外にもThe FoundryChaos GroupAllegorithmicなど、大手は軒並みYouTubeのチャンネルを持っていて、自社の製品のチュートリアルをアップしているので、検索してみるといいでしょう。また、HoudiniのSide EffectsはVimeoの方に充実したライブラリを持っています。



YouTubeやVimeoのこうしたチャンネルのいいところは、無料でソフトウェア会社公式のチュートリアルが見れるところです。突っ込んだ内容はあまりありませんが、特に新機能が出たときなど、開発会社ならではの早さでチュートリアル・ビデオがアップされますから、チェックしてみるといいでしょう。

Digital Tutors

Digital Tutorsはオンラインのデジタル・アートのトレーニング・サイトとしては恐らく最大の規模を誇るものです。毎週のようにコンスタントにビデオがアップされ、内容もウェブデザインからイラストレーション、ゲームの開発、3DCGによる映像制作まで、幅広いのが特徴です。1つのトレーニングは長いものは2、3時間に及ぶものもありますが、10〜15分程度のチャプターに分けられているので、とても見やすいです。各トレーニングでは、ビデオで解説されてる実際にトレーニングに使われたデータをダウンロードできるようになっており、ビデオにブックマークしていつでも気になったところを繰り返し見れるようになっています。英語のサイトですが(ちなみに今回ご紹介するのは全て英語のサイトです)、英語の字幕が表示できるようになっているので、わからないところは辞書を引きながらみるといったこともできます。ビギナー向けのコースが多く、プロフェッショナルにはやや物足りないところがありますが、お金を払えば期間中は好きなだけビデオを見れますからややお得です。私もちょくちょく利用しています。

cmiVFX

cmiVFXもDigital Tutors同様ビデオを主体としたオンライン・トレーニングのサイトですが、ここはHoudiniのトレーニングが他よりも充実している、という特徴があります。ただ、サイトの作りが妙に複雑で、コースのブラウズをしづらいのが残念なところです。Digital Tutors同様ビデオ内で使われているデータをダウンロードする事が出来る他、Digital Tutorsよりも比較的高度な内容のビデオが多い、という印象を受けます。定期購読すると好きなだけビデオが見れますが、各ビデオを単体で購入する事も出来ます。

Gnomon School of Visual Effects

Gnomon School of Visual EffectsはLAにあるビジュアル・エフェクツの専門学校で、私の知る限りでは「ノーマン」、もしくは「ノーモン」と発音します。ここはもともと実際に通ってビジュアル・エフェクツの勉強をする学校なのですが、その他にオンライン・トレーニングのコースも設けています。ここのオンライン・トレーニングの特徴は、業界の第一線で働いている講師とインターネットを通じて直接やり取りをしながら勉強できる、という事で、プリレコーディングされたビデオをただ見るだけの前の2つのサイトと違い、直接質問をする事も可能になっています。当然スケジュールされた日時にコンピュータの前にいなければならいだけでなく、受講料も1コースあたり$1000以上になります。加えて当然英語でやり取りをしなければなりませんからかなり敷居は高くなりますが、直接講師とやり取りできるというのはビギナーのCG屋にはかなり勉強になるでしょう。

The Gnomon WorkShop

直接講師とやり取りできるとはいえ、スケジュールが決められているのでは仕事を抱えているプロフェッショナルにはきついところです。そこで、GnomonではDigital TutorsやcmiVFX同様ビデオによるトレーニング・サイトも用意しています。Digital Tutorsなどに比べるとだいぶコースの数は少ないですが、ストリーミングで見れるだけでなく、ダウンロードやDVDで購入する事も可能です。

fxphd

ここはVFX業界のコミュニティ・サイトfxguideと同じ運営会社がやっているサイトで、言ってみればDigital TutorsのようなサイトとGnomon School of Visual Effectsの間を取ったような作りです。基本的にはコース毎に分けられたビデオを見て学習するのですが、そのあと実際にコースの内容にそった課題をこなして成果物をアップロードすると、講師や他の生徒から批評をしてもらう事が出来ます。また、質問等もサイトのフォーラムを通じてする事が可能です。また大きな特徴として、受講しているコースのソフトウェアを自分で持っていない場合は、恐らく先着順になると思いますが、VPNを通じてfxphdのサーバーからそのソフトウェアを借りる事も出来ます。ただ、その分料金も若干割高になっています。

edX, Coursera, Udacity

edX, Coursera, UdacityはそれぞれいわゆるMOOCs (Massive Open Online Courses) という大学のコースをオンラインで受けられるようにしたサイトで、アメリカを始め、世界の有名大学で受ける授業と同様かそれに近い内容を、インターネットを通じて自宅で受講する事が出来る、というものです。当然アカデミックな内容のものがほとんどですが、CGやプログラミングに関する基礎知識を身につけたい方は、無料で利用できるのでチェックしてみるといいでしょう。ちなみに私個人的にはedXにある"Foundations of Computer Graphics"というコースのUC Berkeleyの教授が結構いい味を出していて、ちょっと見てみたいです。

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