ハリウッドVFX業界就職の手引き

ハリウッドVFX業界就職の手引き
鍋潤太郎氏による、海外のVFX業界で働くための手引き。お薦めです。

2014年12月5日金曜日

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木村でございます。毎年恒例、鍋潤太郎氏と溝口稔和氏による「ハリウッドVFX業界就職の手引き」の新年度版が刊行されましたので、ご紹介です。

「ハリウッドVFX業界就職の手引き 2015年度版」

毎年その時々のVFX業界の変化を読み取りながら更新されておりますので、既に古い版をお持ちの方も、最新のものを手に取ってみられる事をお勧めします。このブログでも何度となく触れていますが、ハリウッド映画のVFX制作は今世界中に広がっており、この手引きでもカナダ、イギリス、シンガポールなどの現地情報を取り入れていますので、アメリカ以外の国での就職を目指しておられる方にも役に立つのではないかと思います。ちなみにこのブログの上の方にあるバナーをクリックして頂くと、AmazonのKindle版が購入でき、私にアファリエイトの収入が入る仕組みになっています。


さて、年の瀬も差し迫って参りましたが、ここに来て大きなニュースが飛び込んできましたので、今回はこのお話を少ししたいと思います。日本でも報じられていますので、ご存知の方も多いかと思いますが、Sonyの子会社であり、ハリウッドの6大映画会社の一翼を担うSony Pictures Entertainment (SPE) のコンピュータ・システムがハッキングされ、犯行側の声明によると100テラバイト分のデータが盗まれた、という事です。

「ソニー・ピクチャーズがハッキングを受けて全システムがダウン、さらに脅迫も」(Gigazine)

実際に100テラバイト分のデータが盗まれたのかどうかはわかりませんが、盗まれた情報が極めて深刻なものであるのは確かなようです。この中にはまだ未公開の映画のムービーファイルやデベロップメント段階にある映画の脚本なども含まれているという事です。さらに驚いたのが、このハッキングに北朝鮮の関与が疑われている、という報道です。これはSPEが近々公開するThe Interviewという映画の内容が北朝鮮の金正恩第1書記を暗殺する、という内容だったため、彼らの逆鱗に触れたのではないか、という事らしいですが、正直なところいって私は北朝鮮にそれほど高度な攻撃が出来るとは思いませんでした。あるいは単にSPEのセキュリティに何か致命的な欠陥があったという事なのかもしれませんが。


さて、この漏れた情報の中には、単に金銭的なものだけでなく、会社の評判に関わるようなかなりセンシティブなものも含まれていたようです。

"Sony Hack Reveals 25-Page List of Reasons It Sucks To Work at Sony"

タイトルからして既に飛ばしていますが、この記事によると、SPEのスタッフからの会社への苦言、苦情をまとめたテキストファイルがほぼそのままの形で盗まれ、公にされたとの事で、この中にはなぜかコメディ俳優アダム・サンドラー(の主演映画)への集中砲火や、スパイダーマン・フランチャイズがありながら(原作の権利を持つマーベルを傘下に持つ)ディズニーほうが大きな利益を上げている事への不満、リメイクや続き物ばかり作って、オリジナルのアイディアがない、などといった散々な意見が出ています。そしてその中には傘下のSony Pictures Imageworksに言及したものもあります。

Moving a major work force to foreign countries is taking job opportunities away from lots of employees at Sony Pictures Imageworks. Families are separated, people are forced to leave the country, and workers don't have any hopes in their future with the company any more. It is sad to see that the company doesn't care about us at all.

(労働力の大半を外国に移す事で、Sony Pictures Imageworksのスタッフの仕事を奪っている。家族が別れ別れになり、外国で暮らす事を余儀なくされ、会社での将来に対する希望もない。会社が我々の事を何にも気にかけていないというのは、悲しいものだ)

何とも身につまされる文章ですが、しかしこれよりも遥かに深刻な問題もあります。盗まれた情報の中には、従業員の個人情報のリストがあり、これがファイル共有サイトなどで公開されている、というのです。この個人情報の中でもとりわけ致命的なのがソーシャル・セキュリティー・ナンバー(SSN, 社会保障番号)という、アメリカで生活する者なら誰もが持っている番号で、元々は納税のために個人を特定する目的で使われていましたが、今は事実上の身分証明のキー要素となっており、名前と生年月日、住所、そしてこのSSNさえあればクレジットカードの申請や借金などが簡単に出来てしまう、という代物なのです。しかもこの個人情報は、現在の従業員だけでなく過去の者も含まれている、という事ですから私的には全くシャレになりません。既にSPEは、現在の従業員にはIdentity theftから個人を守るためのサービス会社へ1年無料で加入できるプランをオファーしている、という事です。残念ながら我々元従業員はこの蚊帳の外なようですので、とりあえず私は自腹でLifeLockという会社のサービスを受ける事にしました。この会社は以前、自社のサービスがどれだけ優れているかをアピールするために、CEOがどこかのアメリカの街のど真ん中で自分のSSNが デカデカと書かれたトレーラーを前にしながらサービスをアピールするCMを流していた事で有名です。「うちのサービスすんげーんだから、もう俺のSSN書かれたビラとか配っちゃうもんねー(゚∀゚) さーみんなよってちょーだい見てちょーだい!」で、そのCMからほどなくしてそのCEOのIDが見事に盗まれ勝手に借金された、というネタ力が爆発している会社です。そのあたりに私は賭けてみたいと思います。

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