ハリウッドVFX業界就職の手引き

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2015年8月23日日曜日

英語を勉強し直してみる その2

木村でございます。「英語を勉強し直してみる」と題した連載の第1回では、企業が使う間違った英語や和製英語が勉強の障害になる、というお話をしましたが、残念ながらそれを地でいったような事件が最近起こりました。ネットメディアのRocket News 24の記事によると、先月フジテレビが放送したプログラムの中で、白人に対する差別語を堂々とプリントしたTシャツを出演者が着ていたそうです。ちなみにアメリカではこのhonkyよりもredneckという言葉の方がもっと強い差別用語ですので、皆さんはくれぐれもご注意ください。

では、今回は発音のお話をしたいと思います。

日本人の発音

日本人が英語が不得意なことの理由の一つに、そもそも日本人には聞き取ったり、口にしたりするのが難しい発音があるからだと言われます。しばしばその代表として取り上げられるのがLとRの違いです。私も、これに関して英語の教師から注意され、練習したことがありますが、ある時点から諦めました。日本人であってもLとRの違いを正しく認識し、発音することは可能ではあろうとは思いますが、少なくとも私にはあまりにもかかる時間と労力が大きすぎたのです。そもそも私の経験から言わせていただければ、LとRの発音が正しくできなくても、7、8割がたのケースで話は通じます。我々外国人の英語の発音が完璧でないことはネイティブ・スピーカーも理解していますから、基本的にはほとんどのケースでLを発音しているのかRを発音しているのかは、文脈から判断してくれます。もちろんそうではないこともありましたが、その場合は表現を変えるなどして説明すれば、大概誤解は解けます。よく発音が正しくなかったために、同じ言葉を何度も繰り返し言う方もいますが、繰り返すことで発音がよくなる可能性はあまり高くない、というのが私の経験上の結論です。正直言って、英語の先生には怒られるかもしれませんが、LとRの発音の違いを言えるように練習する時間があるくらいなら、この言い方を変えて表現するテクニックを磨いておいたほうがずっと役にたつと思います。

一方、正しく発音できるよう練習しておいた方がいいものというのももちろんあります。私が一番重視しているのは固有名詞です。何故なら、固有名詞は、特に相手がそれを知らなければ、文脈から判断するのが非常に難しいからです。このブログを読んでおられる多くの皆さんは、スカーレット・ヨハンソンというアメリカの女優さんのことはご存知だと思います。彼女の名前がアメリカでは「スカーレット・ヨハンソン」とは発音されないのはご存知でしょうか。Scarlett Johanssonは、ウキペディアによるとご先祖がデンマークからの移民だそうで、そちらの発音から「ヨハンソン」と表記されるようですが、アメリカでは英語読みで「ジョハンソン」が近い発音です。基本的に英語のネイティブ・スピーカーはアルファベットで表記できる名前は全て英語読みをしますから、元F1ドライバーのミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)なども「マイケル・シューマッカー」になります。この辺を理解していないと、いくら説明しても話が通じない、ということになるので、注意が必要です。特に地名のこのケースが多く、「チューリッヒ(Zurich)」、「ペキン(Beijing)」など、英語ではまるで発音が異なるものが多いです。

また、発音で以外と落とし穴なのが「i」の発音です。「i」はケースによって「イ」とも「アイ」とも発音されることがありますが、この両方で発音されるケースが意外とあるのです。例えばCGでanti aliasingだとか、semi transparentとかいった用語がありますが、大概の日本人は「アンチ・エイリアシング」、「セミ・トランスペアレント」というふうに発音する方が多いかと思います。しかし、英語のネイティブ・スピーカーは「アンタイ・エイリアシング」、「セマイ・トランスペアレント」のように、「アイ」と発音することが多いです。特にsemiは「セミ」とも「セマイ」とも両方発音するケースを聞きます。方言のようなものなのか、それとも他に理由があるのかはよくわかりません。この他にもスウェーデンの家具メーカーIkeaは日本では「イケア」で知られていますが、アメリカでは「アイケア」と発音する人が圧倒的に多いです。このように「i」の発音の仕方で語感がかなり変わってしまうので、聞き逃さないように注意が必要です。

日本人の英語で発音が障害になるのは、多くの場合シラブル(syllable)とイントネーションに起因すると言われています。シラブルとは日本語で「音節」のことで、要するに言葉をどこで区切るか、ということです。多くの場合、英語を学び始めの日本人は英語を各単語ごとに区切ってフラットに発音してしまいますが、英語は母音と次の言葉の子音が繋がってしまうケースが多いため、音節の区切りのせいで話が通じない、ということが多いのです。昔「掘った芋をいじったな」と言うと英語で時間を聞いているように聞こえる、というネタがありましたが、これも要するにそういうことで、"What time is it now?"を「ファット・タイム・イズ・イット・ナウ」と発音するのではなく、「ファッタイムイジッタナウ」とほとんど一本につながった形で発音しないと通じないということなわけです。そしてこの時にイントネーションをどこに置くかも重要で、通常疑問文では後半に上がっていく傾向が強く、質問のポイントでアクセントが強くなるなど、ある程度法則性があります。こういう部分を重点的に勉強しておけば、LとRが発音仕分けられなくても、十分相手に伝わるように話すことは可能です。

次回は、なぜvery, very, very goodがとても良くないのか、というお話をしたいと思います。

5 件のコメント:

  1. もの凄く勉強になるお話でした。また楽しみにしています!

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  2. 私も発音は早々に諦めました。
    L,R以外にもForとPoohの違いが全く分からない・・・4は指と一緒にフォー!

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    1. それはひょっとしてPhoのことでは(゚∀゚)

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