ハリウッドVFX業界就職の手引き

ハリウッドVFX業界就職の手引き
鍋潤太郎氏による、海外のVFX業界で働くための手引き。お薦めです。

2015年11月9日月曜日

英語を勉強し直してみる その4

木村でございます。やっちまいました。最低でも月に1回は更新しようと続けてきたこのブログですが、ついに10月を無更新なままやり過ごしてしまいました。言い訳する気はないんですが、正直仕事でブログどころではない、という状況だったんですが、久しぶりに会った日本の友人から指摘されてしまいましたので、これは更新しないわけにはいきません。とはいえ、1ヶ月以上も経つと、そもそも何の話をしていたのかすら忘れてしまいます。そうわけですので、ちょっと記憶をリカバリーしながら話を進めていかなければなりませんので、多少たどたどしい分はご容赦願いたいと思います。


YesなのかNoなのか

さて、英語の話の続きで、YesかNoかを答える、というお話です。いくら何でも舐めすぎだろう、と思うかもしれませんが、YesかNoかという問いかけに対する反応は実は難しいのです。例えばこのような会話を考えてみましょう。オフィスで、職場の同僚にこう聞かれたとします。

"Do you have a pen?"

物凄くわざとらしいシンプルなセンテンスですが、とりあえずそれは置いておいて、続けましょう。残念ながらなんでもパソコンやスマホで済ませていた私は、手元にペンを持っていません。答えは当然"No, I don't"になります。これは問題ないかと思います。しかし同僚には私の言っていることがよく聞き取れなかったようです。このように返されます。

"What? You don't?"

ここが問題です。英語に不慣れな日本人(少なくとも私)は、ここでついYesと言ってしまいます。これは日本語で考えればもっともなロジックです。「ペン持ってないの?」と聞いているわけですから、「その通りです」という意味でYesと言ってしまうのは、日本語では極めて真っ当な理屈です。しかし、英語では実は答えはNoです。なぜなのか。これは簡単に言うと、英語では話者の原理原則的な立場が、会話の反応に常に反映される、ということなのだと思います。この場合、私はペンを持っていないわけですから、基本的にNoを堅持するのが英語としては正しいロジックと考えられます。この点、日本語では、常に相手の反応に対する反応というロジックで会話を続けていきますから、相手の言い回しによってYesかNoかが変わります。この理屈が英語のネイティブ・スピーカーにはよく理解できないため、しばしば誤解が生じることがあります。よくわからなくなってきたら、今の会話の根幹に関わる部分に対して(この場合は自分がペンを持っているかどうか)YesなのかNoなのか、ということを常に意識するようにするといいでしょう。ただし、中には

"What? Did you say no?"

などと聞き返してくる人もいます。この場合は、yesがロジック上は正しいですが、混乱を生じるため、やはりnoと答え続ける人が多いようです。

皆さんがオープンテラスのカフェで、1人で昼食のサンドイッチを頬張っていたとします。これは実は実際の私の経験なんですが、座っているのは小さなテーブル席で、2つの椅子が各テーブルに備えてあります。そこへ、3人組のグループがやってきます。各テーブルには2脚しか椅子がなく、ほとんどのテーブルと椅子は埋まっています。そこで、3人組の1人がこう聞いてきたとします。

"Do you mind if I borrow this chair?"

This chairは、あなたが座っている反対側の椅子です。1人できているわけですから、その椅子は余っていて、3人組はそれを借りたい、と言っているわけです。これが問題なければ、通常は"No, I don't"か"Not at all"と答えるでしょう。これはちょっと考えれば、理屈では誰でもわかることです。ところが、我々は大概ポジティブなことに対しては、Yesで反応する、ということに慣れています。ですから、このケースでもついYesと言ってしまいたくなるのです。しかし、Yesと答えるとあなたが椅子を持っていかれることをmind(気にしている)ということになりますから、相手は拒否られている、と解釈するわけです。このケースは最初のケースよりも単純で、後ですぐ失敗に気づくのですが、その場ではついYesと言ってしまいがちです。しばらくそのような失敗を何度か繰り返したのち、私はDo you mindと聞かれて問題なければ、"Go a head"という、YesでもNoでもない答えを繰り出すというテクニックを身につけるようになりました。正直お薦めかどうかはわかりませんが、この失敗を繰り返すようなら、試してみてください。

ComeかGoか

これも私が以前した失敗談なのですが、ある時仕事場で自分の席にスーパーバイザーから電話がかかってきました。私の担当ショットに関して、幾つか相談があるので直接話したい、というのが彼の趣旨でした。そこで、私は彼の席に行く、という意味で"I'm going"と言ってしまったのです。その場では特に先方から聞き返されもしなかったので、そのまま電話を切って彼のブースに向かったのですが、自分自身でもどうもしっくりきません。後々になって、やはりこれは"I'm coming"が正しい、ということに気がつきました。

英和辞書を引くと、大概comeは「来る」、goは「行く」という訳が当てられています。それで我々日本人は単純にこの訳を元に「行く」とか「来る」という表現にこれらの言葉をそのまま当てはめてしまいがちです。しかし、goはともかく、comeは必ずしも「来る」という意味だけに使われるのではありません。簡単に言えば、comeの使いどころは「目的地に誰がいるか」という点にあります。会話をしている相手や、会話の中に出てくる人物に会うためにどこかに行く、という場合は、その場所がたとえ今いる場所から遠く離れていても、基本的にgoではなくcomeになります。もし、目的地に誰も会話の相手や会話の中に出てくる人物がおらず、ただそこに行く、という話であればこれはgoになります。つまり、どこか遠くから今いる地点に向かうか、今いる地点からどこかに行くか、ということは基本あまり関係なく、人に会うためにどこかに行く場合は、comeであると言っていいでしょう。

今回取り上げたYes/No, Come/Goの他にも、英語にはそもそも日本語のロジックと考え方が異なるため、直訳するのが危険な言葉がたくさんあります。英語の文章を単純に訳しても何か日本語で違和感を感じる場合は、このロジックの違いが原因になっているケースが多いです。私が外国人と一緒に仕事をしている日本人を見ていると、しばしばそれに気づかないで相手の言い間違いと勘違いしたり、言っている意味がわからないと激昂してなじったりするケースを見かけましたし、自分自身でもそうした間違いを犯してきました。例えば、"Why don't you ...(〜してみたらどうかな、という提案の表現)"を相手に非難されていると勘違いしたケースを見かけたこともあります。これは日本人同士て考えれば誰でもわかることですが、通常、仕事の場で相手の不快感を煽るようなものの言い方をする人はそう多くはいません。もし英語での会話で何か違和感を感じたら、相手の態度を疑うよりも、まずその表現が日本語の直訳にそまま当てはまるものなのか、調べてみるといいでしょう。

次回は「英語を勉強し直してみる」の最終回として、英語を話す時のメンタリティについて考えてみたいと思います。

2 件のコメント:

  1. 悩んだ時は「sure」をよく使ってました。

    しかし、まぁ本当に英語を忘れてて自分で驚きます。

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    1. もったいないですね。また勉強してみては(゚∀゚)

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